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Reel

ポカリスエットのCM「でも君が見えた。」って
ホントにあのまんまだった。

金井哲夫 金井哲夫 Apr 26 2021

「あれはたぶんCGだろう」そう思って見ていた話題のCM、実はメイキングを確認すると全部実写! 監督はNEWREELでもたびたび取り上げている映像作家の柳沢翔さんでした。

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Show Yanagisawa
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Spoon
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現在テレビで放送されているポカリスエットのCM「でも君が見えた」は、学校のうねる廊下から桜吹雪ならぬ藤吹雪の中を高校生の中島セナちゃんが走り抜け、友だちと手を取り合ってくるくると浮遊するって映像だけど、今どきの我々の目には、「CGじゃん」と軽く流してしまいそうになる。でもでもよく見ると、この「リアルな」……と言ってしまうと返ってCGっぽくなっちゃうから、なんつーか、温かい質感とか光線とか、もしかしてこれは……と思わせる。

でもってメイキング画像を見て納得。ほぼ全部実写だった。実際にうねる廊下を中島セナちゃんが走り抜け、ドアを開けると本当に花びらがどばーっと顔に吹きつけ、その先で待っていたお友だちとワイヤーで吊り下げられてる。全部、ほんとにやってんじゃん! もちろんセットだから全体が作り物なんだけど、デジタルな作り物じゃなくて、セットや小道具や、もちろん俳優さんからも、本物の感触が伝わってくる。

監督は、映像作家の柳沢翔。多摩美術大学で油絵を専攻し、絵画の価値についてあれこれ模索した後、映像の世界に入った。資生堂、ドコモ、カップヌードルなどなど、いろいろなCMを制作してものすごい数の賞を取っているので、日本に住んでいれば誰もが絶対に目にしているはず。さらに Google Mapとか、世界向けのCMなんかも手がけている。MVやショートフィルムの制作も数多く、2005年には長編映画「星ガ丘ワンダーランド」を監督している。

NEWREELでも、柳沢監督のインタビューを何度か行っているので、そちらもぜひも見て欲しい。

・NEO合唱で「渇きを力に変えてゆく。」ポカリスエットの自宅からみんなで合唱CM。柳沢翔監督インタビュー。
・”不可能”倍増! メイクアップアニメ「資生堂THE PARTY BUS」柳沢翔監督インタビュー
・作品を作るってことは、熱意を伝えること。「重力猫」の柳沢翔監督インタビュー
・撮影だけじゃない。 離れていても心をひとつにして挑んだ編集。ポカリスエット「NEO合唱」オフラインエディター田中貴士氏インタビュ

はじめはCGを考えていたが、「ポカリらしさはフィジカルだから、実際にヒロインの子が走って汗をかくのを表現したい」と、本当に全長85メートルのうねるセットを組み、そこに中島セナちゃんを走らせたと柳沢監督。だから、あの息づかいも汗も本物。

「最初のクリエイティブチーム」から、今の世界の状況に対して、ポカリスエットのヒロインが「アゲインスト」することをやりたいと申し出があった。だから、中島セナちゃんはみんなと反対の方向に歩き始めて、ぶわーっと向かい風を受けながら友だちのところへ駆けつける。
「すごく些細なこと、たとえば一緒に帰ろうと友だちに伝えるためだけに逆走していくのは、身近に感じてもらえるのでは? と思いました」と柳沢監督は話している。

また監督は、このCMについてこんなツイートをしている。ほんのちらっと技術情報。

金井哲夫

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。