水やインクが混ざり合う物理現象を電子制御しながらも、予測不能な自然現象との狭間で美しい模様を描くインスタレーション「dyebirth」など、精力的に作品を発表してきたクリエイティブレーベルnor。彼らの活動は「自然そのものを理解する」探究心をベースに、科学と芸術の間にあるジレンマに焦点をあてならが、いずれをも否定することなく新たな価値を創造することに根ざしている。
この展覧会「syncrowd – seven chorus(シンクラウド – セブンコーラス)」では、昨年、などや恵比寿で行われた個展「syncrowd」を大きくアップデートさせた内容になっている。会場となる赤レンガ倉庫内に大小様々な7つの振り子を点在させ、これらの振り子の群れの”同期現象”を利用したキネティック・サウンドインスタレーション。ホタルの群れの発光や、集団での拍手の同期など、日常でもしばしば見られる物理現象に着想を得ている。
2021年8月になどや恵比寿にて発表された「syncrowd」 。今回の赤レンガ倉庫での展覧会では、大小7つの振り子が同期する世界を体験できる。
「会場内の7つの”syncrowd”は、大きさによってそれぞれ独自のテンポで同期/非同期を繰り返しています。振り子がもたらすシンプルな音の反復が、干渉/揺らぎ(chorus)によって連続的にパターンを変化させ、会場全体で永続的に変化し続ける複雑な音のうねりを生み出します。その様は一見すると、より原初的な聖歌/合唱(chorus)のようでもあり、統制されたオーケストレーションのようでもあります。しかし本作品では、絶対的な統率力であるコンダクター(指揮者)不在のなか、自己組織的な在り方でそれを形作ります。物理現象が作る有機的な視覚・聴覚体験の中で歩き回ったり立ち止まったりしながら、森羅万象を司る自然の摂理に耳を澄ませ、体感することで、自由な想像と独自の発見をしていただければ幸いです」(Creative Label nor)。
鑑賞者の中にどのような音が響き合うのか、楽しみに出かけたい。
syncrowd – seven chorus
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
会期:2022年4月2日(土)〜 4月10日(日)※2022年4月6日(水)は休館
開場時間:11:00〜20:00 ※最終日は17:00まで
入場料:無料
公式サイト:https://nor.tokyo/syncrowd-seven-chorus