私たちが世界を認識する際に視覚が多くの割合を占めています。しかし、我々は普段、見るという行為について漠然としか意識していません。ただ物がそこにあるから見えているのだと感じています。しかし実際には、まず光が物体にあたり、そこから反射した光が眼球の中に入り、その信号が脳に伝わる、という複雑な光の経路を経て物の存在を認識しています。光とその反射が存在していなければ、何も見ることはできないのです。
紹介する映像は、光と反射の存在を前面に押し出した作品です。光を意識することで、物を認識することとは何かということについて改めて考えさせられます。
1 – Delta Phi – ART+COM
複雑に波打つミラーの上からマグライトを照らすと、ある特定の距離になった瞬間に「Φ」の文字が浮かびあがる。Φの文字は、光の明るさをあらわす物理量(光束)の符号。光の反射を緻密に計算した美しい作品。
dir. ART+COM
2 – Light Leaks – Kyle McDonald & Jonas Jongejan
形状を工夫して形を浮かび上がらせるのではなく、物体の形状とそれを映しだす空間の形状から全ての光の反射をあらかじめ計算して、照射する映像側を変形することで、光の模様を描き出している。
dir. Kyle McDonald & Jonas Jongejan
3 – Light Barrier – Mimi Son
光の反射を3D空間に拡張した作品。スモークを焚いた空間にプロジェクターからの映像を反射させると、空間上に光の彫刻が浮かびあがる。
dir. Mimi Son
4 – power of one #point
映像を動かすのではなく、反射する物体を動かすことで生みだされるアニメーション。レーザー光線が回転する複数の鏡の中で屈折と反射をくりかえし、光線による模様を描き出す。
dir. Shohei Fujimoto(
5 – reflection study / Interactive edition – Zach Lieberman
光の屈折と反射をソフトウェアでシミュレーションした作品。ライトボックスの上に置いた物体の形状がリアルタイムに解析され、その形状から生みだされる屈折と反射のパターンをバーチャルに描き出す。