梅:カンタンで導入コストも低い
ウェブサービス系
──「基本アイテム」との併用を前提に、まずは梅のシステムはどういう内容でしょう?
はい、ここからは予算と目的に応じて取捨選択しましょう。
梅プランで紹介するのは、YouTubeライブやViemoライブといった、ウェブベースの配信サービスを利用するメニューです。無料または、低価格で利用できます。画質は中。
問題は、10秒~20秒の高遅延です。広告主とのセッションにおいては、この遅延はストレスですよね。なので、これをどういうケースで使えるかを想像してみましょう。
カメラで撮影した映像が、広告主にもウェブサービスで配信されています。当然現場と同じ映像を見るのは20秒後。監督さんが「カット」をかけて、広告主さんに「どうでしょう?」と確認するのが、20秒後ということなります。
これが毎テイクにおこなわれることを想像すると、なかなかしんどいのではないでしょうか?現場のリズムや、香盤への影響なども考えられます。現場とのやり取りは「V会議ツール」でセッションします。
──中画質というのは、撮影素材を確認するのに十分な解像度でしょうか?
特に問題ないとおもいます。一般的にみなさんがYouTubeで体験している画質と同等と考えていただければいいですね。それよりも、”URLを知っていれば誰でも見れる”という手軽さと引き換えに、セキュリティは高くない。注意したいポイントですね。
──受け手の視聴環境も、情報漏えいの面から注意が必要ですね。まだ世に出てはいけない商品撮影の場合などシビアですね。
梅の中に、もう少し高価格帯のサービスがいくつかあるので、紹介しましょう。evercastとPARSECです。
evercastから説明しましょう。こちらもウェブサービスです。中画質、3秒以下の中遅延。
──3秒なら、慣れてしまえば許容範囲ではないでしょうか?
ええ。ただ、配信側のホストは、月額約10万円の使用量がかかります。ビューワーは無料でサービスを利用できます。また、5人以上のセッションになってくると、現在の検証結果ではコマ落ちが発生します。
──少人数のケース、または5人以上の場合は、セッションはV会議ツールと併用するといいかもしれませんね。PARSECはどういったサービスですか?
こちらもウェブサービスです。なんと、無料でパフォーマンスも中画質で1秒以下の遅延。条件としてはかなりいいですね。
ただ、PARSECは、元々ゲームをクラウド化するためのサービスとして開発されたものなのです。Googleが「Google Stadia」というゲームサービスを開始しましたが、どこかの国に大きなサーバーを設置し、ゲームレンダリングの処理をそこで一括でおこない、インターネットでつながったプレイヤーは、そのサーバーから返ってきた映像のみを手元のPCで見ている、という仕組みなんです。プレイヤーがハイスペックPCを持たなくても、遠隔にあるゲーム機を操作して遊べるクラウドゲームの仕組みを、別の使い方をするのがこのPERSEC。強みはホストで入力された映像情報を高速で相手に配信することができるところ。
──レコード愛好家のためにに開発したターンテーブル「テクニクス」を裏技的に使って、DJカルチャーが隆盛した、みたいなのものですね。
いい発想の転換ですよね。すでにリモート撮影で導入されている企業さんもいらっしゃいます。
デメリットは、動作環境がWindows必須、ということです。映像業界ではMacが主流なので、PARSECでいく場合、ホスト機と視聴端末をセットで貸し出すといった発想も必要になってきますね。また、ゲームのクラウドサービスなので、映像配信用途に少しだけカスタマイズが必要です。ある企業さんは、専用のデバイスを作って、それを挿すだけで、このサービスに自動でログインして使えるというシステムを組んでいらっしゃいますが、そこまでやってしまえば楽ですね。
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