NEWREEL
Feature

Get Creative! With コロナ時代の映像制作
#1リモート撮影の松竹梅
feat. 格内俊輔氏(オンラインエディター)

kana kana May 29 2020

緊急事態宣言が全国で解除され、”コロナ対策のお手本”と話題になったニュージーランドでは、来週にはアバターの撮影がいよいよ再開するとの報道が。気持ちを明るくしてくれる一方で、Withコロナ時代の”ニューノーマル”、”新しい日常”に対応した制作スタイルや、マインドセットを考えていくことも必要だ。NEWREEL.JPでは、「Get Creative! With コロナ時代の映像制作」と称し、With コロナ時代の映像制作のヒントを、クリエイティブにみんなで考えていきたい。初回はオンラインエディターの格内俊輔さんを迎え「リモート撮影の松竹梅」をテーマにお届けします。

企画協力
中村剛(Caviar)
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撮影格差社会を防ぐ「利他的」マインドセット

──欧米では、座談会やオンラインギャザリングなどで、情報やケーススタディの共有がすすんでいます。先日もNY Timesでロックダウン中に行われた二件の事例が紹介されていました。日本でリサーチしているときに、格内さんがリモート撮影のソリューションに取り組んでいるという情報に遭遇しました。なんですが、格内さんの本職は撮影部ではなく、オンラインエディターさん。なぜ撮影のソリューション?という素朴な疑問があるのですが。

格内 俊輔(FB | TW | IG):オンラインエディター。1979年、熊本県生まれ。大学卒業後、パチプロとネトゲ廃人を経て、2004年よりIMAGICAに勤務。2012年よりフリーランス。MVやCMの合成、エフェクト、ハイエンドビューティーレタッチ、難問系の課題解決が専門。現在もっとも興味あることは社会貢献。代表作にOK Go「I Won’t Let You Down」や「Obsession」など多数。

今回のリモート撮影のソリューションを考えるにあたって、動機というかテーマをお伝えしたいと思います。「利他的」であることです。結論から言うと、リモート撮影においては、持てるものと持たざるもので、かなりの格差が出てくるとみています。ですが、格差による分断を招くことが目的ではありません。また、ポジショントークとして取られないためにも、原動力は「利他的」なスタンスで、取り組んでいることをお伝えしておきたいと思います。その上で、いくつかのアイデアを提案したいと思います。

──リモート撮影をする目的は、衛生管理面から、移動や三密を防ぐために、出来る限り現場の人数を少なくし、リモートが可能なところは置き換える。例えば、代理店や広告主は、遠隔からの映像チェック、または海外にいるB班による撮影を、リモートかつリアルタイムで行っていくといったことが想定できます。

それらを既存の撮影方法で、そのままそっくりリモートに置き換えようとすると、コストが爆増してしまいます。例えば、現場での検温チェックで、監督やカメラマンに規定以上の発熱があったら、控えのバックアップを用意しておかなければいけないのか?バックアップのコストはどうするのか?といった問題に直面しますよね。テクノロジーを使ったアイデアを出すのはいいことだと思いますが、同時にコストも考慮しないと、広告主としてはお金を出しやすい状況になりません。コロナ禍で景気後退の流れもある中、単純な置き換えの発想のみが蔓延している気がして。その行き着くところは、見積書を提出しても、広告主が「それなら撮影しない方向で考えましょう」というスタンスになりかねないと。どうしたら、コスト爆増を防ぎ、撮影が再開できるか?更に言うと、どうすれば広告主さんがCMを撮ろうというマインドになってくれるかという、根本的なところにアプローチを試みました。

「利他的」といいましたが、僕の仕事というのは、そもそも撮影が終わらないと仕事は回ってこないんです。だとしたら、どうすればみんなが安心して撮影できるかっていうことを考えればいい。僕のような技術者というのは、新しいテクノロジーに移行しやすいというのもあります。また、マインドセットの側面から言うと、経済不況やパンデミック下では、利他的な行動が社会の経済を立て直していくというセオリーがあります。

──エコシステムを回すトリガーのひとつとなりそうです。早速伺っていきたいのですが、そもそも、技術的には可能なんでしょうか?

各制作会社では検証がすすんでいて、お金さえ出せば、いい環境のリモート配信が整えられるということがわかってきました。言い換えると、格差社会を生むということでもあります。学校のオンライン教育現場でも、持てるものと持たざるものによる、教育格差の広がりが問題となりつつありますね。そういう課題はありますが、可能です。

──では、リモートで「代理店や広告主が、遠隔から撮影映像チェックする」という状況を例にして、解説いただいてもよいでしょうか?

僕が検証した中で、現時点で有力と思うものをピックアップし、「松竹梅と基本アイテム」に整理しました。また、新しい技術を導入する際には、ITリテラシーを一番低い想定に合わせていくことが、円滑に進める条件となります。そして、これから紹介する松竹梅理論は、「基本アイテム」との併用をおすすめします。より安全にプロダクションが進行する一助になれば幸いです。

「松竹梅」の前に。土台となる基本アイテム。
ビデオ会議ツール

まずは土台部分からいきましょう。ビデオ会議というのは、みなさんもはやお馴染みでしょう。

ZoomやMicorsoftのTeamsが日本では主流ですね。どちらもウェブサービスで、画質は低いけれど、1秒以下の遅延で会話ができます。無料で使用可能ですが、Zoomの有料版は、月額2,000円で時間制限が無くなるといった機能が使えます。

「画面共有機能」を使えば、動画も流せます。再生はカクつきますが、低フレームレートでも許容できるプロジェクトの場合、カメラのアウトを直接Zoomのウェブカメラとして認識させ、つなぐことで、撮影素材の確認に使うことはできるでしょう。

メリットは、導入の敷居がかなり低いこと。ITリテラシーを考慮しても、一番選ばれやすい傾向にあります。これで、画質は悪けれど、カンタンなシステムで見れる環境が確保できました。物撮りなどでしたら、比較的高い選択肢のひとつではないでしょうか?

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