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橋本麦さん「表現って出つくした」って思いますか?
映像制作からR&Dへ

kana kana Feb 21 2019
photo by Jo Motoyo

映像作家として、またはプログラムも取り入れた映像制作をするコンピューテショナルアーティストとして活躍する橋本麦。昨年はお餅を祖父母の自宅でトランスフォームさせまくったストップモーション・アニメーションMV「Fly」が話題となった。最近は北海道に拠点を移し、新しい取り組みをしているという。

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使う言葉によって思考も縛られている事実

第5回新千歳国際アニメーション映画祭のオープニング映像 dir: Baku Hashimoto
開発中のツールで制作した映像。

——橋本さんのSNSには開発中の進捗がみられるクリップがあがってますね。簡単に説明してください。

見た目はお絵描きツールです。

Photoshop や Illustrator でお馴染みの、鉛筆ツール、ベジエツール、◯□ツールなどをプログラマブルにしたものです。ツールの挙動自体を自分で作れます。ツールを作るためのツール。プリセットがあって、いじれるパラメータを…っていうのではなくて、自分好みのツールを作れるんですね。

Flash-style vector brush (overwrapped part of shapes will be automatically cropped) and basic animation features.I was supposed to try to turn hand-drawn animation into a 3D model then render with Octane for my client work, but now I'm making a drawing tool alternative to Flash…逆にここまで来ると、中途半端にプロトタイプの方がしっくり来てしまいFlashでの作業に戻れなくなった、辛い

橋本 麦さんの投稿 2018年7月30日月曜日

開発中ツールのインターフェイスのデモ

──Flashに近い感覚ですか?

Flash 以降、ベクターベースの 2D のためのモーショングラフィックスツールというものが実はないんです。じゃあみんな何でモーショングラフィックスを作っているかというと、元は合成のためのコンポジットツールで無理やり作っています。

——抽象度が高いとどういう使われ方がされるのでしょう?

制作に合わせてツールを拡張して、それを使ってデザインする、という流れが当たり前になると思います。プラグイン開発は限られた専門家がするものでしたが、それがよりカジュアルになるというか。だけど僕みたいにそれを一人で完結させたがる人は少数で、多分ほとんどの人が、誰かが拡張したツールのサブセットを使ってデザインすることになると思います。間取り図ツールでも、フローチャートツールでもなんでもいいんですが。これまでクリエイティブ・コーダーの活躍の場はインタラクティブやリアルタイムの領域に限られていたけど、ここにきて、彼らの R&D が、ちゃんとデザインや映像制作に生かされるような環境が出来上がるんじゃないかと思います。さっきも、「作法をこねくり回す」タイプと「職人」タイプの話をしましたが、その協働がやりやすくなるはずです。

──繰り返しになりますが、リバーマンが oF で実現したこととシンクロしますね。

ザックや多くのひと達が育ててきたああいうシーンを、グラフィックデザインや映像制作のシーンと地続きにするかっていう話なんです。

──ワクワクしますね。上手く普及すると、ツールだけじゃなくて、意識改革というか思考の縛りからの解放が訪れそうです。

映画の「メッセージ」の主題でもあった、使う言語の仕組みが思考に影響するっていう話があるじゃないですか。僕はそれをツールと発想にも置き換えられると思っていて。AfterEffects を使っている以上、生まれないアイデアってある。ノードベースで考えるのか、レイヤーベースで考えるのかで出来上がる映像のルックは変わるし、キーフレームで動きを考えるのか、1フレごと送り描きして作るのかでも、アニメーションの質感も自ずと違ってくる。新しい映像をつくるって結局言語から考えるしか無いと思うんです。

橋本麦 プロフィール
映像作家、ビジュアルアーティスト。TVCMからミュージックビデオ、Web、インタラクティブ作品など幅広く手掛け、さまざまな表現手法の実験の積み重ねにより、多様な映像・グラフィックのスタイルを模索している。第19回文化庁メディア芸術祭新人賞受賞。
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NEWREELの編集者。コツコツと原稿を書く。