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WevalのMVでパライク・マクグラフリンのアレがパワーアップ

金井哲夫 Jun 19 2019

オランダのシンセデュオWevalのMVを見て「アレ?(既視感)」と思う人もいるだろう。それもそのはず、昨年NEWREELでも紹介したパライック・マクグラフリンによる新作なのだ。しかも前作に比べると密度的にも技術的にも格段に進化を遂げているのでぜひチェックしてほしい。

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Paraic Mc Gloughlin
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Weval
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オランダのシンセデュオ Weval のニューアルバム The Weight に収められている「Someday」の MV。なんだかものすごく引き込まれる。まるで高速なアクションゲームの画面を見ているような、引きずり込まれそうな没入感……あれ? これ前にも書いたことあるぞ。と思ったら、それもそのはず、この MV を監督したのは、去年 NEWREEL で紹介した、アリーナという作品を監督したアイルランドのアーティスト、パライック・マクグラフリンだ。アリーナは Google Earth からキャプチャーした画像や自分で撮影したダブリンの街の画像をつなぎ合わせて作られていた。それもすごかったけど、こちらは密度的にも技術的にも格段にパワーアップしている。

今回もまた、マクグラフリン監督自身が撮影した写真と Google Earth の航空写真とストックフォトが使われている。1分50秒あたりの、広場で人々が歩く画像がアニメーションになっているところなど、じつに面白い。2分30秒あたりのビルの窓が動いて見えるシーンも、かなり緻密に編集されているのだろう。

マクグラフリン監督のウェブサイトに掲載されている自身のコメントによると、Weval から MV 制作の依頼があったのだそうだ。監督は彼らの曲を聴いて大変に気に入り、それに相応しいアイデアを思いついた。その後、Weval の2人と話し合ううちに、大まかな構成がまとまったとのこと。

この映像の狙いは、「我々はどこへ行くのか、我々は正しい方向に進んでいるのか?」というコンセプトの底に流れる、曖昧で抽象的な旅を創造することだった。「確かなものは何もなく、人生は、一瞬にして、良い方向にも悪い方向にも劇的に変化する。持っているものを失うのは怖いだろうが、それでも踏ん張ろうとしている」と監督は語っている。

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。

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