【激しく光の明点が繰り返されますので、視聴の際はご注意ください】
ぐーっと見入ってしまう不思議な映像。まるで高速なアクションゲームの画面を見ているような、引きずり込まれそうな没入感。これは、アイルランドの画家で彫刻家で映像作家のパライク・マクグラフリンの作品。
最初に現れる言葉は、20世紀初頭に活躍したアメリカの詩人エドウィン・アーリントンロビンソンの「人生はプレイしなければならないゲームだ」という言葉だ。そして、マクグラフリンが付けたタイトルが「アリーナ」。自分たちで作り上げた形状の上で展開される人生のゲーム場という意味だ。
道路や建造物など、同じような形をした人工物を Google Earth の航空写真から切り出し、それらをつなげてアニメーションにしている。写真専門ブログサイト PetaPixel のインタビューによれば、「アニメーション作りは比較的簡単だったが、画像を探すのに時間がかかった」とのこと。
パライクは人の顔をモチーフにした絵画や彫刻を制作している。作風にこだわらず、次々と新しい手法を取り入れている感じだ。写真や動画も表現手段として積極的に取り入れている。去年、彼が発表した Chase という動画も、かなり話題になった。アイルランドとポーランドで撮影した映像をもとに作られたアニメーションだが、その表現方法には、この Arena と共通するものがある。Chase は、「人は、自分が求めているものをどのように見つけ出そうとするか」を考える旅の映像であり、同じような特徴を持つ物や人や場所に注目し、似ているようでいて、まったく異なるそれらと共通の道を表現しているのだという。
音楽、というか背景に流れるサウンドは、息子でミュージシャンのパース・マクグラフリンとの共作。パースも、ミュージシャンでありながら数々の動画作品を制作している。また、パースがアイルランド語で作った歌を父のパライクが英語に翻訳するなど、仲良しコラボレーション親子だ。
さらに、以前 NEWREEL でも紹介したマックス・クーパーの「リシンセシス」の MV は、パライクのもう一人の息子で映像作家のケビン・マクグラフリンの監督作品だった (リシンセシスの記事ではケビン「マクローリン」と紹介していますが、マクグラフリンが正しい発音のようです)。
ケビンはパースのアルバムのためにイラストを描いたりもしており、まったく仲良し天才家族だ。