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時の流れを俯瞰するマックス・クーパーの最新 MV

金井哲夫 金井哲夫 Dec 1 2017

高速鉄道の窓から見える電線が踊っているように見えたことから発想したというマックス・クーパーの最新MVをご紹介。

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Kevin McGloughlin
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オーディオビジュアル・アーティストとして日本にも根強いファンが多いマックス・クーパーの最新ミニアルバム「ザ・ワールド・パッシング・バイ」(The World Passing By) に含まれている「シンセシス」(Resynthesis:再合成) の MV だ。映像を担当したのは、以前からチームを組んでいるアイルランドの映像作家ケビン・マクローリン。

ザ・ワールド・パッシング・バイのテーマは「時間」。リシンセシスの映像は、クーパーが高速鉄道に乗っていたとき、窓から見える電線が踊っているように見えたことから発想したという。

「窓の外の電線は静止しているが、私が移動していることで、それが動いているように見える。私たちの日常の行動も、同じプロセスで説明できるのではないか。時間はすべてのものが拡大するひとつの物理次元であり、現在はその膨張する構造体の表面だ。これはよく知られている数多くの物理的な考え方に結びついている。面白いMVが作れると思った」とクーパーは語っている。

過去からの時間の流れを、別次元から物理的構造体として眺める感覚を表現したかったのだという。

音楽は、過去の停止した瞬間を表すために、プロフェット6でアナログな基本シーケンスを作り、そこにモジュレーションを駆使したサウンドを重ねている。

その各エレメントに、遠くから聞こえるようにワープをかけた。もっと違う音が隠れているのではないかと、サウンドに聞き耳を立てて欲しかったのだそうだ。

このサウンドに、映像が細かくシンクロしている。

それにしても、映像のクオリティーが高い。その透明感と立体感に引き込まれる。

ケビン・マクローリンは、素材となる街の映像をダブリンで撮影しているが、彼が拠点としているアイルランドのスライゴの映像も少し入っているという。

時間を俯瞰すれば、過去もそのまま存在しているというクーパーの考え方に共感して、時間の固形の構成要素を表現しようと「三次元と二次元の両方で、さまざまなディスプレイスメント技術を用いた」とマクローリンは話している。
昼と夜の映像が瞬時に切り替わる場面が何度も登場するが、カメラが移動しているのに昼夜の映像にズレがないなど、技術の高さに関心させられる。

マクローリンによると、以前の作品の映像がそのまま使われている部分もあるとのこと。

マックス・クーパーは去年の暮れに来日しているのだが、ぜひまた日本に来て、このリシンセシスをライブで披露してもらいたい。


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金井哲夫

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。