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ウォード・ベネット生誕 100 年を記念する洒落た名言動画

金井哲夫 金井哲夫 Dec 4 2017

世界的な家具メーカー “ハーマンミラー” が、プロダクトデザイナーのウォード・ベネットのインタビューの音声を編集して作った動画を公開。それはまるで一冊の名言集を2分で見てしまえる感じだ。

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世界的な家具メーカー “ハーマンミラー” が、プロダクトデザイナーのウォード・ベネットの生誕100年を記念して公開した動画だ。

1981 年に美術評論家バーバラリー・ダイアモンスティンの「インテリアデザイン:ザ・ニュー・フリーダム」というテレビ番組で行われたインタビューの音声を編集し、グラフィックと BGM (インフォグラフィックス)を付け加えている。

まず、とにかくお洒落でかっこいい。元のインタビューでは普通にしゃべっているだけなのだが、こうして「いいところ」を抜き出して並べて、洒落たインフォグラフィックスをくっつけると、なにやらぐっと価値が上がる。一冊の名言集を2分で見てしまえる感じだ。

ただ、重要なのは話の内容で、それが分からなければ意味がない。そこで、対訳を載せておこう。

“よいセンス” というものは、あれを着ろ、これを着ろと人に押しつけ、自分に似合わない服を着るように強要する。
私が思うに、センスとは疑問を持つことだ。自分のセンスを見つけることが重要なのだ。
なんであれそれは、自分にとって大きな意味を持つものとなり、ガラクタを買う必要もなくなる。

ダラスのビル・ハモンドから電話があった。大統領図書館の仕事をしているのだが、ジョンソン大統領が、木だけで作った椅子を欲しがっているという。
バーの椅子と裁判所の椅子を掛け合わせて、馬の鞍をちょっと混ぜた感じという注文で、面白かった。
私は、椅子から椅子のデザインを始める。椅子の肘掛けや脚を分解して、それを箱の上に置いて座れるようにする。
それから、モスリン、ステープルガン、クリップを使って、厚紙をそこに固定し、デザインを描きながら形を作っていく。彫刻と同じ作業だ。

ひとつ言っておきたい。私の作品のなかでもっとも成功したものは、自分の生き方だ。
とても静かで、単純で、ゆっくりと素敵な庭園を造ったり、あちこち旅をしたり。どれも商売とは関係がない。それが私の生き方だからだ。

私はインテリアや家具やフラットウエアなどいろいろなものをデザインしてきたが、いちばん大きな意味を持つのは、自分が住んでいる場所だと思う。

元のインタビューを見ると、かなり編集が入っていることがわかる。最後の部分は、その前段の話を聞かなければ、ちょっと理解しにくいかもしれない。

ベネットは、人の住んでいる場所には金では買えない特別な空気があり、それを踏まえていない現代の建築やインテリアデザインは失敗していると話しているのだ。

現代は、家だかショールームだかレストランだか見分けがつかないと、こぼしたりもしている。つまり、自分が住んでいる環境を大切にせよということだ。

同じように、著名人のインタビューを編集した作品に(*インフォグラフィックスはタイポグラフィックス的なグラフィック要素が強いものを指す傾向にあるため)、絵本作家モーリス・センダックの最後のラジオインタビューを使った「イラストレーテッド・トーク・ウイズ・モーリス・センダック」がある。

ラジオ番組「フレッシュエアー」でのセンダックの電話インタビューを聞いて感動したイラストレーターのクリストファー・ニーマンがイラストを添えて製作し、2012年にニューヨークタイムズ電子版で公開したものだ。

著名人の生の言葉を短くまとめて美しく見せるという、こうしたスタイルの動画はまだそう多くないが、もっとあってもいいと思う。いろいろな著名人の名言を広める上で、とても有効な手段になるはずだ。

もちろん、著作権やら何やらの権利を考えると、勝手に作るわけにもいかない。そこをクリアできるメディアが先頭に立って、どんどん作って欲しいものだ。


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金井哲夫

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。