映像にフォーカスするメディアNEWREELでは、注目すべき映像をドサドサと紹介していきたいと思っています。スタッフがオオオッ! と感じた映像をタイムリ―にご紹介していこう、と。
しかしながら
「このビデオ、ものすごくいい……だが書くことが無!」
というものもあるんですね。しかも頻繁に。
OYの「MADE OF LOVE」という作品もそうしたもののひとつ。
作品の内容はご覧の通り。海に浮いたエアマットの上でラブ風船とでも呼んだらいいのか、擬人化されたバルーンがすりすりゴシゴシとひたすら愛の営みに励んでいる。サビの部分ではOYのメンバーと思しき2人が気持ちように浮遊しながら愛を謳い上げる。
映像の作りは極めてシンプル。だけど強いメッセージと見たことないビジュアル表現で、とても印象に残る作品だ。
だが記事にしようとすると「見たまんまです! 楽しんでください!」くらいしか書くことがなかったりして記事にしずらい作品なのだった。
というわけで、映像を制作したMoritz Reichartzにコンタクトをとり、どういった思いでこの作品を作ったのか尋ねてみたところ、大筋では「見たまんま、聴いたまんま作った」とのことでした。
MADE OF LOVE というパンチラインをそのまま文字通りに受け取って作ることにしました。この曲をはじめて聴いた時、風船のようなキャラクターが愛し合う様が眼前に拡がったのです。
ちなみにMoritzは、OYとはすでに「Space Diaspora」というMVでコラボレートしていて、こちらもとてもチャーミング。「MADE OF LOVE」で使われている表現の原型がすでにここに表れているのが確認できる。
「MADE OF LOVE」の映像をよく見ると、ラブ風船のひとつひとつが微妙に色がちがって、人種や愛の形の多様性を感じさせる。
歌っている内容も、最初のパートでは
Italian American Chilé Korean
Somali Estonian Czech Lebanese
Sri Lanka Romanian China Latvia
Burundi Tunisian French Taiwanese
と、人種が次々と読み上げられている。
OYのボーカリストJoyはガーナ系スイス人。彼女自身の体験から来るのだろうか、人種を越えて愛し合い、その壁をぶち壊してしまおうぜと訴えかけているようだ。
そしてサビの部分。
Made of Love
You were born in translation
Made out of love
Being found in translation
僕はぜんぜん気づかなかったけれど、この” found in translation”は、”lost in translation”にかけてあるんですね。トランスレーションによって失ってしまうことではなく、異なる文化が交わるなかではじめて見出されるもの、それがここで歌われてる愛のテーマなのでしょう。
サビのパートでは、カラフルな愛の宴のような世界で、OYのふたりらしき人物が愛の奔流に身を委ねるかのように気持ちよさそうに浮遊しています。
Moritz曰く
彼らはこのラブパーティのMC、文字通りのマスター・オブ・セレモニーとなるのです。
映像を制作したMoritz Reichartzはケルン在住のモーショングラフィックアーティスト。元々は建築を学んでいて、建築会社でインターンしていたけれど、アニメーションへの情熱が抑えきれず、この道に舵を切ったとか。建築系の3Dの技術から。3Dアニメーションの世界へ転身したというわけだ。
現在フリーランスで活躍する彼は、今回を制作のすべてをCinema 4D と Octane Renderで行ったと言う。
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