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ジョン・ルイスの今年のクリスマスCMは
エルトン・ジョンに贈られた特別なギフトの物語

金井哲夫 金井哲夫 Nov 26 2018

昨年もこのNEWREELで取り上げて話題となったジョン・ルイスのクリスマスCM。シリーズ10回目となる今年は、イギリスを代表するスター“エルトン・ジョン”の人生を振り返るストーリーだ。

dir
Seb Edwards
prod co.
adam&eve
m
Elton John
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11月14日に、待ちに待ったイギリスのデパートチェーン、ジョン・ルイス・アンド・パートナーズのクリスマス CM が公開された。タイトルは「The Boy & The Piano」。この時期、イギリスはもちろん、ヨーロッパ中の人々がジョン・ルイスの CM を心待ちにしている。毎年、かなり力を入れた心温まるストーリーを見せてくれるからだ。このシリーズは今年で10回目となるが、今回登場したのはスーパースターのエルトン・ジョンだった。

と、ちょっとその前に。先日 NEWREEL でもお伝えした、今年のジョン・ルイスの秋の CM もすごかった。小学校の学芸会でクイーンの「ボヘミアン・ラプソディー」をやるというやつ。まさに今、映画「ボヘミアン・ラプソディー」が大ヒット中で、なんだかジョン・ルイス、ど真ん中に当たりっぱなしな感じだ。

話を戻そう。このCMでは、エルトン本人が自宅で古いピアノの鍵盤を叩き、「ユア・ソング」(僕の歌は君の歌)を歌い始める。すると、彼のこれまでの人生を振り返る映像が展開される。さまざまなライブ公演の様子。エルトン自身がどんどん若くなっていく。やがて子ども時代となり、ホームパーティーでピアノを弾くエルトン、ピアノの発表会で落ち着かない様子の小学生のエルトンも登場する。そして、クリスマスの朝、幼児時代のエルトンが、母と祖母からクリスマスプレゼントを受け取り、初めて鍵盤に触れる場面となる。

「なんて素晴らしい人生なんだ、キミがいてくれて」という有名な一節で歌が締めくくられると、男の子は生まれて初めて、ピアノの鍵盤から音を鳴らす。場面は現代に戻り、その男の子の音に続けるように、今のエルトンが鍵盤をひとつを弾き、ピアノの蓋を閉じる。すると、こんなメッセージが現れる。
「単なるギフトではないギフトもあります」

CM 公開の3日後に発表されたメイキング動画の中で、制作会社 adam&eve の最高クリエイティグ責任者リチャード・ブリム氏は、「300本の台本を見たけど、これが秀逸だった。ひとつのギフトが小さな男の子の人生を変えたという物語で、その子がまさにエルトン・ジョンだったというものだ」と話している。

監督はセブ・エドワーズ。8歳のときに映画「戦場の小さな天使たち」に出演しているが、今は監督として活躍している。リチャード・ブリム氏は、メイキング動画の中でエドワーズ監督のことを、非常に繊細な形で情緒的なストーリーを表現できる才気あふれる監督だと話している。そのため役者は台本に寄り添うことができ、頑張って演じるのではなく、自然に演技できるのだという。

今年の9月に公開された、エドワーズ監督が制作したジョン・ホプキンス「Singularity」のMVも、アクション物ながら、どこか情緒的で美しい。どの作品にもセピア色っぽい、フィルムっぽい、柔らかい感じが共通している。現在、これが最後と宣言している世界ツアーの最中にあり、クリスマスの時期にその半生を振り返る映像として、とてもしっくりくる。

ジョン・ルイスのクリスマスCMは、毎年大変に話題になる。そのため、本物のジョン・ルイスのCMが公開される直前に、「ジョン・ルイスですよ」と、まったく違う人が作品を公開することがある。待ちに待っていた人たちは、喜んで視聴するのだけど、なんかちょっと違うと感じる。すると数日後に本物が公開されて、「ありゃなんだったんだ?」となることが最近増えている。それなりに、いい作品もあるから面白い。ウソはいけないが、それもまたジョン・ルイスのCMの注目度を示すものであり、クリスマスの風物詩とも言えるだろう。

では、本物のジョン・ルイスのクリスマスCMの中から、人気が高かったものをいくつか紹介しておこう。

2017年 Moz The Monster

2016年 Monty The Penguin

2015年 Man On The Moon

金井哲夫

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。