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608枚の刺繍で作ったBBCのFIFAワールドカップ
放送キャンペーン用トレーラーが熱い

金井哲夫 Jul 5 2018

スポーツ系CMでは定評のある英BBC。今回「歴史的スポーツ大会だからこそ昔ながらの表現手法を」という粋なアイデアをもとに作られたワールドカップCMは日本製の刺繍機で綴る刺繍アニメーションだ。

dir
Nicos Livesy
prod co
BLINKINK
a
BBC Creative
embroidary
The London Embroidary Studio
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BBC が制作した2018年 FIFA ワールドカップ広告キャンペーン用の動画「The Tapestry」は、ご覧のとおり刺繍で作られている。ホントに縫ったのか? と疑いたくなるが、The London Embroidery Studio(ロンドン刺繍スタジオ)と共同で作られた本物の刺繍によるアニメーションだ。ワールドカップという歴史的なイベントのためには、現代の手法ではなく、数百年前から伝わる刺繍という表現方法で広告アニメーションを作ろうと BBC は考えたのだという。さすがサッカー発祥の国だけあって、考えることが熱い。

現代の手法ではなく……、とは言いつつも、やっぱりこれだけの量を手縫いというわけにはいかない。下のメイキング動画を見てもらえばわかるが、コンピューター上で描かれたイラストを、TAJIMA製の多頭刺繍機というデジタル制御のミシンで刺繍している。ちょっとホッとした。しかし、サイズはそれほど大きなものではないが、総枚数は608枚というから大変だ。

The making of ‘The Tapestry’ – BBC World Cup 2018 from Xander Hart on Vimeo

監督は、イギリスのプロダクション BLINKINK に所属するニコス・リブシー。実験的な手法をいろいろ試している監督で、2014年にも自らがギタープレイヤーとして所属するヘビメタバンド Throne の「Tharsis Sleeps」の MV に刺繍を使っていた。こちらは4分半で刺繍3000枚以上というから恐れ入る。

オリンピックや FIFA ワールドカップのような大きなスポーツインベントの際、その中継を行う BBC は、放送広告キャンペーンとしていつも充実した内容の動画を発表する。今年の平昌オリンピックのキャンペーン用に作られた動画は、NEWREEL でも紹介したので見てくれた人もいると思う。動画好きなら、BBC はいつも頭の片隅に置いておこう。

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。

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