TOKYO 2020のスケートボード・女子ストリートで銀メダルを獲得し、ブラジル史上最年少のオリンピックメダリストとなった13歳のブラジル選手ライッサ・レアウが出演したNikeのCM(ちなみに、夏季五輪で日本選手史上最年少出場を果たした北海道出身12歳の開心那(ひらき・ここな)はパークで銀=WHYDAH GROUP=)。ディズニーのシンデレラ風アニメーションとからめて、バックにはシンデレラの挿入歌「夢はひそかに」が流れる。笑うと歯の矯正ブリッジが見える、まだあどけなさの残る彼女は、ブラジルでは「妖精」と呼ばれるアイドル的存在。そのきっかけを作ったのが、CMの最後に流れるホームムービーっぽい映像。
これは、2015年、レアウがまだ7歳だったときにInstagramに投稿された動画。きれいなドレスでヒールフリップを試みて、何度も失敗して転ぶけれど諦めず、最後に背中に妖精の羽を着けたトライで成功するという、まさに魔法のパフォーマンス。これがブラジルで大いにバズり、「スケートボードの妖精」として一躍スターになったというわけ。CMでは、「夢はひそかに」の夢を持ち続けていればいつか叶うという歌詞と重なって、胸がきゅんとくる。
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これはNikeのキャンペーン「Play New」のひとつ。ブラジルのNike代理店の広報担当者は「レアウの人生は世界中のすべての女の子をインスパイヤーする。……Nikeは、ジェンダーに関係なくこのスポーツを広めて、誰でも参加できることを示したい」と述べている。レアウも、「他の女の子たちがこのスポーツを始める刺激になれたことを、すごく嬉しく思ってます。スケートボードは女性のスポーツでもあるの。みんなものよ」と女性を応援するメッセージを出してる。
監督もこのCMに相応しく、ブラジルでは「イルマース・フリードマン」(フリードマン・シスターズ)として知られるリナ・フリードマンとマリア・フリードマンの姉妹コンビ。写真家の父とアーティストの母の影響を受けてデザインの世界に入った。オーディオビジュアルのメーカーでプロダクトデザイナーを7年間務めたあと、ようやく映像監督としての夢を叶えた。
2年前にも、別のNikeのキャンペーンCMを制作している。イタリアのサッカーチーム、ASローマのフォワードを務めるブラジル出身のアンドレスア・アルベス・ダ・シルバの子どものころを再現したものだ。また、ブラジルの窓メーカーのCMは、これらとはちょっと雰囲気が異なり、窓から入る陽の光をいろいろな形で間接的に表現した、なんともホッコリする内容。陽の光の見せ方がいいなーと感じさせる。