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東方神起のユンホが韓国ノワールで
皆殺しアクションを炸裂させる「Thank-U」

金井哲夫 金井哲夫 Feb 24 2021

まるで任・侠・映・画ッ! 東方神起のユンホが無表情で鉄砲をぶっ放す冷血漢を演じる「Thank-U」のMV。「キル・ビル」や「SF サムライフィクション」のようなオマージュシーンも登場するので映画好きもぜひチェックしてみて。

dir
Kim Hyun-soo
prod co
Segaji Video
m
Yunho
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東方神起のユンホ(ユノ)の2枚目のミニアルバム「NOIR」のタイトル曲「Thank U」のMV。MVというより立派なショートムービーだね。ノワールというだけあって、けっこう暗黒。暗黒世界の人生にもがき苦しむ孤独な男の心情が滲み出る、まさに任侠映画だ。でも、アーティスティックな場面も挟み込まれていて、血みどろながら美しい。制作はSegaji Video

監督は、ソウルで生まれ、法政大学を経てニューヨーク大学でデジテル動画制作を学び、ニューヨーク工科大学大学院で映画と放送を学んだキム・ヒョンス。メディアと教育を通して民主主義の透明性を求める非営利団体ブルックリン・インタラクティブ・グループに所属し、同団体が配信する番組のディレクターも務めている。2007年には映画「シャ乱Qの演歌の花道」(1997)の韓国リメイク版「覆面ダルホ~演歌の花道~」の共同監督をしている。

Thank Uは、全体的に2005年の韓国映画「甘い人生」のような韓国ノワールらしい抑えめの色調をベースにしながら、狭い部屋で何本もの日本刀を突きつけられたり白塀の前での格闘する「キル・ビル」っぽいシュールなアクションと、赤と青を大胆に使った日本映画「SF サムライフィクション」のタイトルシーンを合体させたような場面を挟み込んだり、カンフー的な振り付けを交えたりと、いろんな要素をちりばめながら7分間のアクションを飽きさせずに見せてくれる。ヤクザ映画に詳しい人なら、もっとオマージュ場面を見つけられるかも。

東方神起は2011年にも「Before U Go」のアクションMVを制作している。こっちもMVというより完全にドラマ仕立ての16分という大作。悪いヤツに妹を人質に取られた警察官の苦悩を描く、ノワールというよりは青春おまわりさん友情アクションだ。

あのときは悪者に陥れられた同僚を助けるいい人だった若きユンホは、今回は無表情でばんばん鉄砲をぶっ放す冷血漢になったようだけど、歌詞から察するに、心の中は孤独で純粋な男の子。一生懸命、頑張ってるのに、どうしてもうまくいかないと嘆いている。涼しい顔をしていても、その内面ではゴミの日の朝にゴミ箱の中身をゴミ袋に移そうとすると絶対に丸めたティッシュが外にこぼれちゃうときみたいな、どうしようもないやるせなさに疲れ切っているのがわかる。でも、ばしばし人をぶっ殺しながらも、「ボクを嫌ってくれてありがとう。強くなれるから……」と前向きな気持ちを捨てない元気な殺し屋さんなのだね。

金井哲夫

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。