1970年に発売され大ヒットしブレイクのきっかけとなったキャット・スティーブンスのアルバム「Tea for the Tillerman」に収録されている「Where Do The Children Play?」(邦題:子どもたちの園はどこへ?)のMVなんだけど、ここで使われている曲は、今年、アルバム発売50周年を記念して出された「Tea for the Tillerman2」のためにリテイクされたもの。
キャット・スティーブンスといえば、1971年のヒット曲「雨にぬれた朝」が、ボクが子どものころにさんざんラジオで流れていたので大変に懐かしい。しばらく名前を聞かなかったなーと思ったら、1978年で活動を休止して、2006年から再開していた。しかも、イスラム教に改宗してユスフ・イスラムって名前になってた。
この曲の歌詞は、文明が発達していろいろ便利になったのはオーケーだし、いろいろあってこういう世の中になったのはわかる。だけど、子どもだちはどこで遊べばいいんだい? という内容。
この曲はいろいろな人がカバーしていて、2017年に人身売買被害者を支援するチャリティ−・コンピレーション・アルバム「Music to Inspire: Artists UNited Against Human Trafficking」のために収録したガラージュのバージョンは、「どーすんだよ! 深刻だよ!」みたいな、もっと重くて暗い感じになってる。やっぱり、キャット・スティーブンスというかユスフのオリジナルのほうが、軽い感じだけにかえって説得力があるな。
それはともかく、MVの監督はイギリスの映像作家でありアニメーターであり版画ポスター作家のクリス・ホープウェル。数多くの有名ミュージシャンのMVやCMを制作しているが、2016年にレディオヘッドの「バーン・ザ・ウィッチ」のために制作したストップモーション・アニメーションMVは、子ども向け作品のように見えて「魔女を燃やせ」というタイトルから暗示されるとおり、めちゃくちゃ不気味な内容で、再生回数3700万回以上という人気を呼んだ。
ファザー・ジョン・ミスティーことJ・ティルマンの2018年の作品「Please Don’t Die」のMVは、同年のUK Music Video Awardsで最優秀動画中アニメーション賞を受賞した。CGは使わず、わずか30日で制作したという。こちらのメイキング動画で、「Please Don’t Die」の撮影の様子がよくわかる。
さて、「子どもたちの園はどこへ」の小道具やセットは、環境にインパクトを与えないよう、できる限り廃材が利用されている。制作プロダクションBlack Dog Filmsのサイトで、ホープウェル監督はこう話している。
「私たちはサウスウェールズの海岸でプラスティックゴミを回収し、それを使って海のセットを作りました。画面に見えるものの90パーセントはリサイクル素材によるものと言えます。セットの土台からして、廃棄された足場の板を再利用し、慈善団体のリサイクル店で買ったペンキで着色しています。撮影後、使用したすべての材料はリサイクルに回しました。普段より少しだけ時間が多くかかったけど、楽しかった!」