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日本建設工業の昭和レトロなアニメCMに
腰が抜けて立ち直れない

金井哲夫 金井哲夫 Jul 28 2020

このCM、前情報ナシに見ると「いったい何なんだ……」と頭を抱えてしまいそうになるが最後に全てが解決する。ふざけているようにも見えるが、ちゃんと企業のコンセプトに基づいたものらしい。今回はCMを手がけた映像作家の藤井亮氏のコメントつきでご紹介。

dir
Ryo Fujii
ani
Ryo Fujii
prod
Gosay studio
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発電所の建設や保守管理などを幅広く行っている日本建設工業という、けっこうお堅い会社のウェブCMがぶっ飛んでいた。

昭和の時代の「遊星少年パピイ」とか「宇宙少年ソラン」を彷彿とさせるモノクロアニメで、最初のうちは作業員が「星のタービン」というそれっぽいヒーローに変身して発電所の安全を守るといった、「絶対におふざけCMに違いない」という不安と期待を抱かせつつも一応は業務内容に則したCMの体を成しているのだけど、「ピンチのときにはなかまをよぶぞー」で謎の3人組が現れて完全にふざけ切る。なんだかわからないが、これで深く納得する。

ところで、日本犬、セツ子、ウギョ〜ってナニ? 犬と化け物はわかるけど、セツ子って誰? ボクは真剣に35秒ぐらい考えた。 そして、ニホンケンセツコウギョーだと気づいて愕然とした。トシのせいかコロナのせいか、不覚にも一本取られた。

企画、監督、アニメーション制作は、ばかばかしいものを最高の技術を駆使して全力で作り上げる映像作家、藤井亮氏。今、一般にもっとも露出度が高い作品にはNHK・Eテレの「ミッツカールくん」がある。藤井氏の真剣にふざけた作品にとてつもない精力を傾けている様子は、自身のまとめサイトでよーくわかるので、ぜひぜひチェックして欲しい。

このCMは、昭和20年設立の歴史を偲ぶモノクロ、ブラウン管の4:3の画角、1960年代のアニメを意識した主題歌で構成。「戦後の復興を果たし、当社が最も成長を続けた時代の雰囲気を伝えるため」であり「情熱・チームワークが大きなテーマ」と、日本建設工業の解説によれば、しっかりとしたコンセプトに基づいている。それをここまでの笑いに高めてしまう力は半端じゃない。

現在、TOKYO MXでは、「テルマエ・ロマエ」のヤマザキマリがグランドジャンプで連載中の「オリンピア・キュクロス」を藤井氏がアニメ化した「別冊オリンピア・キュクロス」が放映されている(毎週月曜日21:54~22:00)。毎回エンディング曲が違うとか、もうやりたい放題なところが最高にいい。

藤井監督だから、こういうナンセンスなもんができるんだよねーで済ませてはNEWREELで紹介する意味がない。というので、藤井監督に直接聞いてみた。このアイデアはどこから湧いて出たのだろうか?

「社名訴求をしようと思ったものの、オリエン直後に、なんて会社だっけ? と、あやふやになるほどの、ある意味王道な、ある意味ありがちな単語3つの組み合わせからなる社名を、どうしたら印象に残せるか苦心しました」

そして、「にほんけんせつこうぎょう……にほんけんせつこうぎょう……、と社名を延々ブツブツとつぶやいているうちに、日本犬……セツ子!? と出てきました。そこからは早かったです。ウギョーは右行みたいな、相棒の右京さんのようなキャラクターも考えましたが、怪物にしてよかったと思います」

ああ、このコメントからして笑える。藤井監督には、これからもっともっと暴れて欲しい。

金井哲夫

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。