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スパイク・リーからニューヨーク市民へ
3分間のラブレター「New York New York」

金井哲夫 May 19 2020

映画監督のスパイク・リーが約3分間のショートフィルムを公開。コロナ禍を生きぬくニューヨーク市の人びとに捧げるとして作れられた映像には、今のニューヨークの風景や医療従事者たちの姿がおさめられ、バックにはフランク・シナトラの「New York, New York」が流れる。

dir
Spike Lee
ca
Kerwin Devonish
ed
Adam Goode
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「ブラック・クランズマン」(2018)や「マルコムX」(1992)など、社会や政治の問題に真っ向から斬りかかる映画監督として知られるスパイク・リーが、Instagramで公開した3分間のショートフィルム「NEW YORK NEW YORK」。ニューヨークの人々への「ラブレター」だと監督は書いている。

撮影はコダックのスーパー8で行われた。ほぼ無人のニューヨークの街のバックに流れるのはフランク・シナトラの「Theme from New York, New York」。

「みんなに伝えてくれ。ボクはニューヨークに行くんだ。ニューヨークの人間になるんだよ。そこでナンバーワンになる。伝統のニュークで新しい人生を始めるんだ」と希望に満ち溢れたシナトラの歌。そこへ新型コロナウイルスの影響で無人になったニューヨークの街が重なる。普通ならシナトラの歌が皮肉に聞こえそうなところだ。少なくとも前半はそんな感じに受け取られるかも知れないが、後半に医療従事者たちが登場すると「みんな頑張ってるよ」と、大きな励ましに雰囲気が変わる。もう一度最初から見直すと、無人の街の様子が、逆に、他のみんなもステイホームでしっかり新型コロナに立ち向かってるぞ、みんなで乗り切るぞ、というポジティブなメッセージに見えてくる。「新しい人生を始める」という歌詞が一層胸に響く。

特殊効果もCGもない、じつにシンプルな映像と歌にこれだけの説得力を持たせるスパイク・リー監督の手腕は素晴らしい。同時に、流行とは別のところにある、アメリカの大衆文化の重量感が伝わってくる。

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。

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