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ゆかいなウミガメ一家のショッキング過ぎる運命!
グリーンピースの警告アニメーション「Turtle Journey」が突き刺さる

金井哲夫 金井哲夫 May 4 2020

「ウミガメを絶滅から救おう!」ということで環境保護団体グリーンピースがアニメーションを公開。アレ? このカメの顔、どこかで見たことあるって人も多いのでは??? そうなんです、この動画はあの「ウィレスとグルミット」のアードマンによる制作。声優陣も超豪華!

dir
Gavin Strange
prod co
Aardman
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イギリスのグリーンピースが制作したウミガメを絶滅から救おうというキャンペーンのための動画。カメの顔、どっかで見たことあると思ったら、グルミットだ! 制作は「ウィレスとグルミット」のアードマン。監督はギャビン・ストレンジ。この他、声ではオリビア・コールマン、デイム・ヘレン・ミラン、ベラ・ラムジー、デイビッド・ハーバー、ジム・カーター、アヒル・シャーといったそうそうたる俳優陣が名を連ねている。

おじいちゃんとおばあちゃんの家に滞在していたウミガメ一家が車で帰路につく。いつものちょっとイラつく問題だと思ってたと、パパカメが振り返る。車を走らせると後部座席の子どもたちが騒ぎ出す。カメラを向けられてポーズをとるママに「動画だけど」とツッコむ子ども。すると普段使っている道が通行止め。下の子の機嫌をとろうとクイズを出すママ。トンチンカンな答えを言う子ども。「迂回するか」とハンドルを切るパパ。「大丈夫なの?」と心配するママ。「パパの迂回はやばいからなー」とさらにツッコむ子ども。

「うちの車の中、見てた?」と世界中の人に思わせるような、ごく普通の、やかましくて幸せな時間が過ぎるのだが、外の様子がだんだん怪しくなってくる。海底油田のドリルから漏れる黒い油。流れてくる大量のゴミ。家の周りは妙に静かだ。やっと家についてホッとして、「お茶を入れてくるから荷物お願い」とママが家に入った瞬間……

この落差には耐えられないほどのインパクトがある。家に入ったママは、人間の機械に家が潰されて死んでしまった。辛すぎる。地震やら津波やらをついこの前経験した日本人には、あまりにもリアルに伝わってくるため、ショックを受ける人もいるかも知れない。だけどストレンジ監督は「個人的な、それでいて普遍的な家族の喪失と希望の物語を世界中の人たちに伝えたかった」と話している。

キャラクターは粘土のストップアニメーションで、CGの背景と合成されている。メイキング動画を見ると、わかっちゃいるけど大変な作業であることが理解できる。

動画は、7種類いるうちの6種類のウミガメが絶滅の危機に瀕していると訴える。グリーンピースでは、海の3分の1を聖域化するよう国連との交渉を続けているとのこと。わかっちゃいるが、これはウミガメだけの問題ではなく、ウミガメが象徴する海洋生物全体の問題であって、結局それは人間に降りかかってくるものであって、でもってその原因は人間が作ってるという、やるせない構図を考え直そうということだ。これはコロナと違って、人間がその気になれば大幅に改善できることなんだよね。

ところで、豪華な声の出演者たちが6人もいるけど、どこで出てきたんだ? って感じ。最初にバイバイと言ってるおじいしゃんとおばあちゃんが、世の中の全部の映画に出てるんじゃないかってぐらい顔なじみのジム・カーターとアカデミー主演女優賞俳優のデイム・ヘレン・ミラン。パパが「ストレンジャー・シングス 未知の世界」でホッパー署長を演じたデイビッド・ハーバーで、ママがこれまたアカデミー主演女優賞俳優のオリビア・コールマン。上の子が「ゲーム・オブ・スローンズ」のリアナ・モーモント役を演じたベラ・ラムジー。下のチビ2人がコメディアンのアヒル・シャーってことになるのだけど、デイム・ヘレン・ミランの台詞がほぼ「ばいばい」だけだったりして、めちゃくちゃ豪華すぎる。それだけ、出演者はグリーンピースの趣旨に賛同して出演の意義を感じているのだろう。

音楽は、ペンギン・カフェ・オーケストラのサイモン・ジェフスの息子で、父の曲を演奏するために2007年に結成されたペンギン・カフェのアーサー・ジェフス。

日本語版動画キャンペーンの詳しい内容はこちらで見ることができる。

新型コロナウイルスでそれどころじゃないと思うかもしれないけど、海が崩壊したらそれこそ人間の文明なんてイチコロなわけだし、カメママのためにも常に意識しておかないとね。

金井哲夫

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。