シュコダ・オートという自動車メーカーがチェコにある。日本ではぜんぜん馴染みがないけど、1925年から続く歴史あるブランドで、今はフォルクスワーゲン傘下で世界展開をしているそうな。2018年には過去最高の生産台数88万6103台とのことで、ぐんぐん勢いがついている。東欧の自動車メーカーと聞くと、東ドイツのトラバントとか、かなりヘッポコなイメージがあったけど、今のシュコダは自動車はもちろん、CMもかなり洗練されていていて、映像の力も大きく貢献しているんだなと感じる。
そんなシュコダのフランス向け最新CMが、この「Will & Chuck」という、なぜかアメリカのポリスドラマをパロった作品(特定のドラマというより、よくありがちなアメリカン・ポリスものって感じかな)。お昼休み中のデコボココンビに緊急出動命令が入って大はりきり。しかし、運転席のシートの調整がうまくいかず、なかなか出動できない。最後に、ドライバーごとにシートのポジションを記憶できるシュコダはいかが? とオートアジャスト機能「シュコダ・キー」をお勧めされる。
監督は、フランスの伝統あるラ・フェミス映画学校で学び、パリの Big Productions に所属するジャンバティスト・サレル。フランスのテレビシリーズやショートフィルムなどを手がける他、映像カメラマン、脚本家、俳優としても活躍している。食事の出前サービス Just Eat のCMでは、フランスのメディア専門紙 CB News で2019年のベスト・ディレクターに選ばれた。もう誰も電話で出前を注文しない時代から冷蔵庫型のタイムマシンで飛び込んでくる未来人マックスのシリーズだ。広告代理店 Buzzman のサイトですべて見られる。
サレル監督は、2018年にもシュコダのCMを監督している。こちらは、「Ugly 90’s」(醜い90年代)というタイトルで、今から見れば変テコだった90年代のカルチャーを思い出させる映像が流れる。そして最後に「90年代はみんな醜かった。……でも今のシュコダは違います」と、ちょいと自虐的なキャッチが入る。このCMは、2019年のフランスのエフィー賞で金賞を獲得した。