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んoonの「Gum」は、しっとりとワケがわからなくて
めちゃくちゃでリアル

金井哲夫 金井哲夫 Aug 8 2019

んoon「Gum」のMVは、奇抜な登場キャラクターとそれらが途中から重なり合うシュールな展開ながらも、終始落ち着いた雰囲気の漂う不思議な作品だ。監督は多摩美術大学の講師であり自称「パートタイム・アーティスト」のAkihiko Taniguchi。

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Akihiko Taniguchi
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んoon
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6月5日にリリースされた、んoon(ふーん)のセカンドEP「Body」に収録されている「Gum」のMV。雨の日のものすごい質感としっとり感。曲想も雨っぽくて、奇抜な登場キャラクターとそれらが途中から重なり合うシュールな展開ながら、落ち着いた雰囲気がある。

監督は多摩美術大学の講師であり自称「パートタイム・アーティスト」の Akihiko Taniguchi。このMVでも見られる妙に質感のある生々しい映像と、座標を無視してキャラクターが重なる表現方法は、2016年に発表されたCumhur Jayの「On & On」のMVでも使われている。

Cumhur Jay – On & On – “Dyschronometria” by Akihiko Taniguchi

まったくもって、Akihiko Taniguchi らしい映像と思えるのだけど、んoon の Naoto Sekijima がTaniguchi 監督に MV を依頼したとき、「彼の作風と、曲の質感が一番想像できないもの」を選んだと話している。いやいや、ど真ん中だったのでは? その一番想像できないやつを、ど真ん中に持ってきた監督の勝利なのかしら。

マンガっぽい人やライオンや鹿や魚とか、いろいろなキャラクターが登場するけど、んoonのメンバーも登場する。顔がリアルなやつがそうだ。これらのキャラクターがメチャクチャに重なっていく。CGの初心者が失敗しちゃったみたいな絵なんだけど、不思議と不気味さは感じられず、画面が濡れそうなしっとりとしたリアルな環境でこれが展開されると、そのコントラストがなんともコミカルに見える。鹿と魚が重なって、きちんとリップシンクしているところなんぞはつい笑ってしまう。

歌詞の内容はよくわからないのだけど、「んoonの中では言葉の意図や意味に関して、深く追求も説明もしないのがいつからかのルールになっている」とオフィシャルサイトに書かれているように、聴き手もわからないまま受け入れていいのでしょう。雨の日に、この映像と合わせて、なんだろなーと静かに考えるのもまた一興。

金井哲夫

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。