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タコ焼き食いたさ感が半端じゃない
1980YENの「たこやきストーリー」のMV

金井哲夫 Nov 5 2018

先日、カラスよけCDの全国路上リリースで注目を集めた1980YEN。10月10日には映像作家の冠木佐和子氏を起用した新曲「たこやきストーリー」のMVが公開されたのでぜひともチェックしてほしい。

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Sawako Kabuki
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1980YEN
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日本のファストカルチャーをひっぱるアートユニット1980YEN(イチキュッパ)の「たこやきストーリー」のMVが公開された。本作のアニメーションは冠木佐和子氏が制作している。

1980YEN は、NHK ドラマ「半分、青い。」のオープニング映像などを手がけた映像作家くろやなぎてっぺい食品まつりが立ち上げたユニット。メンバーには、海外で Foodman と呼ばれているミュージシャンの食品まつり、ミュージシャンでサウンドディレクターのファストボーイ、SXSW でも作品が上映され、Forbes の「30 Under 30 Asia List」にも選ばれた映像作家でミュージシャンのシシヤマザキ、アートディレクターでプランナーの佐藤ねじ、プロジェクターからレーザーや LED まで光るものを担当するレーザー、映像、音響アーティストの光戦士、イベントプロデューサーでアーティストでもあるマネージャーの桜木彩佳という、めちゃくちゃ楽しそうな集まりだ。

「たこやきストーリー」は10月10日にリリースされた1980YENのサードアルバム「FAST FOOD」に収録されている。

MVを制作した冠木佐和子氏は、ちょいとエロティックで変態(形状が変化するという意味)アニメーションで知られている。アダルトビデオ制作会社に務めた後に多摩美術大学の大学院を修了するという面白い経歴を持つ。まだ二十代ながら、その作品は世界中のものすごい数の映画祭にノミネートされ、獲得した賞も多い。なかでも、2016年の作品「夏のゲロは冬の肴」(成人向け)は、スイスの国際アニメーション映画祭でグランプリ、メキシコのモルビド映画祭ショートフィルム部門と、フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭学生部門で準グランプリなどなど、多くの賞を受賞している。VimeoではBest of the Monthにも選ばれた。

現在、映画祭のために北海道にいる冠木佐和子氏から、忙しいなかコメントがもらえたので、紹介しよう。

「クライアントワークでは、久々にめっちゃ自由に作れたので楽しかったです。
打ち合わせで曲を聞いたときに思いついたのはすごいメロウな感じのMVのイメージだったのですが、メンバーのくろやなぎてっぺいさんに『スーパー玉出的なぶっ飛んだ感じ、激安なたこ焼きみたいなイメージで』って言われて、『えっ』って思いました。そんな私の曲に対する第一印象とてっぺいさんの希望を兼ね備えたMVにしようと思ったらこうなりました。
あと、いつも私は24fpsで作画するんですが、このMVを作画してるときに『描いても描いても終わらねえ……』と思ってフレームレートを確認したら30fpsで作ってた事に気づいて白目むきました。そのため結構動きがヌルヌルしていて、タコのそれと合間ってヌルヌルしたMVになったとは思います。
諸事情ありショートMVになってしまいましたが、フルで作りたかったです」

なるほど、だからこのMVには、タコ焼きに対する肉体の底から突き上がるような激情がほとばしっているのか。それほどタコ焼きが食いたいのかー! ってな感じが伝わる。ぐわーっと情念を掻き立てられた後の、30fpsの「ヌルヌル」したタコのダンスに癒やされる。

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。

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