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35年前の映像を復刻したかのような最新型シンセ
Moog One のプロモーション動画

金井哲夫 金井哲夫 Oct 11 2018

最新式のアナログ・ポリフォニック・シンセとして発表された「Moog One」。これを記念して1975年に作られた Polymoog のプロモーション動画を再現した映像が公開され話題を呼んでいる。

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1975年に発売されて音楽シーンを一変させたアナログ・ポリフォニック・シンセサイザー Polymoog(ポリモーグ)が、今年、35年ぶりに Moog One(モーグ・ワン)という最新式のアナログ・ポリフォニック・シンセとして復活した。これはそのプロモーション動画「Moog One – A Meditation On Listening」(モーグワン・聴いて瞑想)だ。1975年に発売された Polymoog のプロモーション動画を再現する形になっているが、当時よりも多くのミュージシャンが顔を出している。プロデューサーのジェフ・バスカー、ピアニストのディック・ハイマン、チック・コリア、坂本龍一などなど豪華な顔ぶれだ。

1976年のPolymoogのプロモ動画。

75年のものと同じくスーパー8で撮影された映像と、今の機材で撮影されたデジタル映像が組み合わされている。現代のチック・コリアや坂本龍一もフィルム風に撮られていたり、表示される文字も70年代っぽかったりして、随所にレトロ感が出ている。

76年の動画では、最初に森の中を抜けると、いつの間に場所はスタジオになり、Polymoog を弾いたハービー・ハンコックが「これはすごい」と驚く。今回のものも、まったく同じように始まり、Moog One を弾く坂本龍一が「これはすごい」と驚く。時代を超えても変わらぬ老舗の味、みたいな安心感がある。とは言え、オリジナルをリアルタイムで見たわけではなく(YouTube もなかったし、モーグのテレビ CM なんてのもなかったから、見たって人はすごい)、今回の動画から知ったんだけど。

次に、デイビッド・ルース博士がスタジオの副調整室からブースに入ってきて説明を始める。この人は世界初のポリフォニック・シンセサイザー、つまり Polymoog(ピアノのように同時にたくさんの音が出せるシンセ。それまではシンセは単音しか出せなかった)を発明した人だ。ちなみに、ロバート・モーグはこの開発には関わっていない。今回の動画では、代わりにジャズピアニストのロバート・グラスパーが同じように副調整室から出て来て説明をするのだが、スマホに電話がかかってきて、「やあ、ハービー。今はレッスンしてやれないよ。またね」(相手がハービー・ハンコックっていうジョークなのかな)みたいな話をするという場面が挟まれている。それで「ああ、現代なんだな」とわかる仕掛けだ。

バックに流れる音楽は、75年のものではパトリック・モラーツが担当(この動画では音がわんわんしてよくわからないけど)。今回のものはディーボのマーク・マザーズボーが担当している。

残念なことに、ポリモーグを作ったルース博士は、昨年、80歳で亡くなっている。今回の動画に出演していたら、さぞ感動的だったろうにね。

金井哲夫

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。