イギリスのチーズブランド「ピルグリムズ・チョイス」のテレビCM。チャーリーという女性の夢を、パペットと実写映像とCGとで作り上げている。
チャーリーは夢の中で森に座っている。彼女の両手が大きくなってびよーんと伸び、山の上のレストランを掴み、その中に頭を突っ込む。すると、中には変な海賊が食事をしていた。チャーリーはさらに手を伸ばし、海賊のテーブルの上の食べ物たちを逃してやる。
チャーリーの手は海賊をぐるぐる巻きにして動けなくしてしまった。そこへ、ピルグリムズ・チョイスのチーズがどんと落ちてきて、風味豊かな夢のチーズをどうぞ、となる。
監督は、パペットアニメーションを得意とするCMディレクターのジョセフ・マン。彼の作品はどれもとっても可愛く、マン監督の公式サイトではそれらのメイキング動画を公開しているものも多いので、ぜひ見て欲しい。
このチャーリーの夢のCMも、メイキング動画が公開されている。
このほかに、Campaign誌が制作したメイキング動画（下）もある。そこでは、クリエイティブ・ディレクターのデイビッド・ビリング氏が、こんな話をしている。人の夢は想像を絶する奇妙さと豊かさと美しさに満ちている。自分たちで考えたアイデアを視聴者で試そうと考えるのは、視聴者を甘く見ていること。我々は、視聴者の潜在意識を使って、この夢の世界を生み出しているので、もっとずっといいものになっていると。
「視聴者の潜在意識を使う」とはどういうことか。じつはこれ、ピルグリムズ・チョイスが現在行っている、あなたの夢をCMにしますというキャンペーンに関係している。
イギリスには、夜にチーズを食べると変な夢を見るという都市伝説があるそうで、2005年に英国チーズ委員会が調査したところ、食べるチーズの種類によって見る夢の内容が変わることが確かめられた。これを受けて、ピルグリムズ・チョイスでは、今年、調査会社のユーゴブに依頼して、イギリスで2,000人以上を対象にした調査を行ったところ、トリプロファンを多く含むピルグリムズ・チョイスのチェダーチーズが夢に大いに影響することがわかったのだ。
そんなわけで、ピルグリムズ・チョイスのチェダーチーズを食べて変な夢を見たら、それを教えてね、CMにするから、というキャンペーンを始めたというわけ。もちろん、これからいろいろな「夢」のCMが制作される予定だ。
