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サザンオールスターズ「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」のMVは
サラリーマンの心に何を残すのか?

金井哲夫 Jul 23 2018

全編フルアニメーションのMVははじめてというサザンの新曲「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」。矛盾だらけの社会、弱肉強食の組織、ストレスだらけの日常を生き抜くサラリーマン(戦士)たちの姿が胸を打つ感慨深い作品だ。

dir
Sou Ootsuki
animation dir
Yshiki Imazu
m
Southern All Stars
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映画「空飛ぶタイヤ」の主題歌としてサザンオールスターズが書き下ろした主題歌「闘う戦士(もの)たちに愛を込めて」のMVが公開された。サザンでは初めてのフルアニメーション作品で、公式チャンネルの解説には「曲のタイトル通り、矛盾を感じつつ、ストレスを抱えながらも社会で働くすべての闘う戦士(もの)たちへの讃歌です」とある。限りない足の引っ張り合いの中で闘うサラリーマンの毎日。胸がしめつけられるようなアニメーションだ。

監督は、数々の MV や CM、Web ムービーを手がける大月壮。ライフワークとして制作している、人々のおどけた馬鹿みたいない走り方を集めた微笑ましいプロジェクト「アホな走り集」の第二弾カンボジア編は、第15回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門審査委員会推薦作品に選ばれた。

アニメーションディレクターは今津良樹氏。「バカ田大学祭ライブオフィシャルCM」やタテアニメ用の「稲川淳二のすご〜く恐い話」のオープニングアニメーションなどを制作してる。じつは今年、東京藝術大学大学院映像研究科を卒業したのだけど、それ以前の7年間、会社員をやっていた。その経験が今回のMVに濃厚に反映されているに違いない。

手描きの手法によって、絵画的な落ち着いた雰囲気のシーンと、歌がサビに入ったときの激しい動きのシーンが対照的に切り替わるが、よく見れば、アニメーション自体の動きにもメリハリがあり、普通のアニメとはずいぶん違うことがわかる。この MV では、曲のサビの部分はかなりフレーム数の多い部分があり(毎秒24枚)、疾走感を高めている。また、ビニール袋が風に飛ばされるシーンや、クラゲや書類がシュレッダーにかけられるシーンなども、自然な動きを出すためにフレーム数を多くしている(毎秒12枚)。この絵のタッチでフルアニメーションといところに、大変な迫力が感じられる。

会社での壮絶な足の引っ張り合いと、日常の幸せが入り交じる「戦士」の生活に、最後に光がさす。あれは、他人を蹴落とさなかった善良な人への救いの光なのか、それとも戦士の一時の癒やしなのか、なんとも複雑な気持ちを残す終わり方が、また深い。


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雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。

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