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ホックニーのジョイナー・フォトにインスパイヤーされた
ギャズ・クームスの最新作「Walk The Walk」MV

金井哲夫 Apr 23 2018

ギャズ・クームスの最新MV「Walk The Walk」 は、ひとつのシーンが重複しながらいくつものフレームに分かれて映し出されるというもの。それはまるでデビッド・ホックニーのジョイナー・フォトを彷彿とさせる映像作品のようだ。

dir
Najeeb Tarazi
prod co
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ギャズ・クームスが久しぶりに発表した3作目のソロアルバム「ワールズ・ストロンゲスト・マン」に収められている「Walk The Walk」のMV。ひとつのシーンが重複しながらいくつものフレームに分かれて映し出される。

これを見て、デビッド・ホックニーのジョイナー・フォトを思い出した人もいるかもしれない。1980年代、ホックニーが始めた写真の「プリント」を貼り合わせる表現手法にインスパイヤーされた人は多い。このMVは、ジョイナー・フォトの動画版といった感じだ。とは言え、とても新鮮で面白い。

じつは、ナジェブ・タラジ監督自身もホックニーを意識して制作している。監督はこう話している。
「Walk The Walk を聴いて、ギャズがデビッド・ホックニーの作品に影響を受けたと知って、ホックニーの写真のコラージュを思い出した。Walk The Walk の動画は、ロサンゼルスにあるミッドセンチュリー・モダンな感じのアパートで撮影した映像を使った実験的な動画コラージュだ。その題材にポーカーを選んだ」

さらにこう言っている。「このテクニックをどう活用するかを考える時間がとても楽しかった。ギャズがあの素晴らしい曲に、この普通じゃない映像を使うチャンスをくれたことに、とても感謝してる」

ナジェブ・タラジ氏は、監督になる前はピクサーのテクニカル・ディレクターを務めていたという面白い経歴の持ち主だ。2年前には、n. Lannon の「Another Love」の MV を監督しているが、3Dスキャンをつかった技術的にかなり凝ったものになっている。また、全編テレビゲーム仕立てのMVとして話題となったデルタ・ヘビーの 「White Flag」も彼の作品だ。

今回は、映像を加工するというよりは、実写ベースで実験的な表現を見せてくれたというわけだ。静止画の写真と違い、動画では映像を時間的に分解することもできる。その時間差の効果も面白い。最後の水辺のシーンは、完全にホックニーへのオマージュだ。

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雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。

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