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スパイク・ジョーンズ監督の新作は4分という長編CM

金井哲夫 金井哲夫 Mar 12 2018

3月5日の公開からすでに600万回の視聴回数を超えるApple HomePod のCM。踊る FKAツイッグスの動きにあわせて、テーブルや壁が伸びる仕掛けはCGなのか? アリモノなのか? ジイェ・チョイによるストーリーボードも紹介。

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Spike Jonze
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Ryan Heffington
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Anderson .Paak
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Apple の HomePod の4分間CMが話題になっている。公開から数日で視聴回数が600万回 (2018.3.11現在) を超えるという人気だ。普段、Apple は CM の監督名などはあまり公表していないのだが、今回はしっかりと前面に出してきた。おそらくそれは大物スパイク・ジョーンズ監督だからだろう。

このCMは、同時に、アンダーソン・パークの新曲「Till It’s Over」の MV にもなっている。出演しているのはミュージシャンでダンサーの FKAツイッグス。満員電車に揺られ、雨の中を歩いて小さな自宅アパートに辿り着き、HomePad に向かって「ヘイ、Siri、私の気に入る曲をかけて」と話しかけると、このやさしい歌が流れ出す。飲み物を片手に、歌に合わせて体を揺らしていると、テーブルが動くことに気づく。テーブルだけでなく、部屋の窓や壁も思い通りに広げられる。彼女は踊り出し、部屋中をどんどん自分の好みに変えてゆく。
すると壁に広がった大きな鏡の中のもう一人の自分に導かれ、そちらの世界に入ってゆき、二人は一緒に踊り出す。このとき歌は「家に帰って服を脱いだら、別の人生を楽しんでみないか」と誘う。
やがて曲が終わり、幻想から目覚め、ちょっとした満足感が残る。HomePod のお陰だね、といった感じ。

ダンスを中心にして、しかも単なるダンスではなく、人をびっくりさせる仕掛けを見せてくれるのがスパイク・ジョーンズの十八番と言えるだろう。過去には、2000年にクリストファー・ウォーケンが踊り出し宙を舞ったファットボーイ・スリムの「Weapon of Choice」の名作 MV があり、2016年の KENZO WorldのCM でも、退屈なスピーチに飽きた女の子が会場の外へ出てめちゃくちゃ踊り出すという同じ系統の作品がある。

ダンスの振り付けを行ったのは、これまたアメリカの大御所振り付け師ライアン・ハフィントン氏。2014年には「Video Girl」の MV で FKAツイッグスの振り付けも行っている。HomePod とはちょっと離れるけど、ハフィントン氏が振り付けを行ったシーアの「Chandelier」のMV でのダンスを、ハフィントン氏が実際に踊りながら解説する NOWNESS の面白い動画があるので紹介しておこう。

Apple は CM 制作に関する詳しい情報をあまり出さないので、どのようにしてあの映像を作ったのかなど、詳しいことがわからないのだけど、ストーリーボードの製作を担当したストーリーボード・アーティスト、ジイェ・チョイの作品が Storyboards Inc. の Facebook ページで見られる。

ところで、ここで使われているアンダーソン・パークの「Till It’s Over」は、Apple Music だけで買えるという。さすがApple。しっかりしてますな。


金井哲夫

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。