NEWREEL
Reel

NEWREEL厳選 2018 スーパーボウルの必見CM 6選

金井哲夫 金井哲夫 Feb 7 2018

プロフットボールチームの全米王者を決める「スーパーボウル」のテレビ中継ではトップ企業によるこのとき限りのスペシャルCMが流され毎年話題を集める。今回、そんな数あるCMのなかからNEWREEL編集部が選んだ6本をご紹介。

FacebookTwitterLinePocket

アメリカでは、1月はプロフットボールチームの全米王者を決める「スーパーボウル」の季節として盛り上がる。試合はもちろんのこと、ハーフタイムショーには、1995年にマイケル・ジャクソンが登場して以来、豪華なアーティストによるミニコンサートが開かれるというのも話題のひとつだ。今年はなんと、ジャスティン・ティンバーレイクとプリンスが共演するという驚きのショーが披露された。さらに、アメリカの調査会社エルシーニルセンの調べでは、2016年のスーパーボウルのテレビ視聴率は46.6パーセント。1億人以上の人たちが見たという。

そうなるとCMも大変な騒ぎになる。スーパーボウル中継でのCMの放映料は年々高騰し、今年は30秒で500万ドル (約 5億5000万円) とも言われている。この枠を獲得した各スポンサーは、力のこもったCMを制作してこの中継にぶつけてくるわけだ。

だから、毎年スーパーボウルのCMの内容が、映像ファンならずとも大きな話題になる。これまでも名作CMが数多く生まれてきた。しかし、なんだか今年は不作だという声があちらこちらから聞こえてくる。政治や社会に対する批判のトーンが消えて、全体に安全な「お笑い」に傾いているというのがニューヨークタイムズ電子版の評価だ。

去年のスーパーボウルでは、放映権を持つ FOX と NFL (ナショナル・フットボール・リーグ) が、物議をかもしそうな、政治的、社会的なメッセージ性の強いCMを制限するという方針を打ち出した。そのため、建材メーカー「84 ランバー」のメキシコ移民をテーマにしたCMが内容変更を迫られたりもした。

そんなことがあってか、今年のスーパーボウルのCMは、期待しすぎなのかもしれないけど、力がないように感じられた。とは言え、やっぱりスーパーボウル。今年も「おお!」と唸らせる力作がある。そんなわけで、NEWREEL では、これぞと思われる作品を独自に6つ選んでみたので紹介しよう。

スプリント

ソフトバンクが買収したことで話題になったアメリカの携帯電話事業者スプリントのCM。
人工知能の学習について研究をしている博士が、携帯電話で誰かに研究内容を報告している。すると、学習中のロボットが「先生、なぜスプリントに乗り換えないでベライゾンを使ってるのですか?」と尋ねる。「私の分析では……」とロボットがスプリントの利点を述べると、博士は「それは考えてもみなかった」と答える。
それを聞いた周囲のロボットたちが博士の口まねをして嘲笑する……。というちょっと怖い話。

トヨタ

ピョンチャンのパラリンピックのワールドワイドオリンピックパートナーでもあるトヨタは、パラリンピックとモビリティーをテーマにしたシリーズのCMを3本制作したが、これはそのなかのひとつ。
膝から下の両足と肘から下の左腕のない状態で生まれたローレン・ウルステンクロフトが、誕生からゴールドメダリストに成長するまでを描いた感動のドキュメンタリーだ。

スキトルズ

上の動画は、チョコレートのスキトルズの15秒CMを1本にまとめたもの。「このスーパーボウルのためのCMが、たった1人の人間のために作られたとしたら……」というシリーズ。栄えあるスーパーボウルのCMを自らパロったナンセンスな作品だ。
出演しているのはデヴィッド・シュワイマー(フレンズ)。普段はCMなどに出ない一流の俳優がふざけたCMに出てくるなんていうのも、スーパーボウルならではだ。

ミカロブ

ビールのミカロブ・ウルトラのCM。俳優のクリス・プラット( ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)は、ミカロブ・ウルトラのCM出演が決まったと大張り切り。いろいろな場面を想定して、この大役を果たすための役作りやトレーニングに励む。
そして撮影当日、「オレ以外にこの役は務まらないぜ」と意気込みながら現場に着くと、スタッフに「あっちに並べ」と言われる。そこはエキストラの待合所だった、というオチ。
これもCM自体をパロったCMだ。

アマゾン

さて今年の真打ち登場。アマゾンのCMだ。ある日突然、アマゾン・エコーの AI アシスタント「アレクサ」が声を失う。慌てたアマゾンの社員は代役を立てることにした。「本当に大丈夫か?」と不安そうに社員に確認するのはアマゾンの CEO ジェフ・ベゾス本人。
ある男性がアレクサにグリルチーズ・サンドウィッチの作り方を聞くと、それに応えたのが口の悪さで知られる料理人ゴードン・ラムゼイ。「いい年をして、そんなことも知らないのか、この XX め!」と怒られる。
若者が「火星までの距離は?」と尋ねると、これまた口の悪いテレビパーソナリティーのカーディ・B に「そんなこと私が知るわけないじゃない」と突っぱねられる。
ホームパーティーで「雰囲気を作ってくれ」と男性が依頼すると、それを受けたコメディアンのレベル・ウィルソンは風呂に浸かりながら卑猥なムードを盛り上げてしまい、居間の雰囲気が凍り付く。
年配の男性が「カントリーミュージックをかけてくれ」と言うと、再び登場のカーディ・B が強引にラップを聴かせる。
女性が「ブランドンに電話をかけて」と頼むと、庭園で優雅に過ごしているアンソニー・ホプキンス(ハンニバル)が「ブランドンは手が塞がっている。人類の役に立てることがあったら私に言ってくれ」と答える。
そして最後にアレクサが「お疲れ様。あとはもう大丈夫」と戻ってきておしまい。
CNBCによると、この1分30秒のCMの制作費用はおよそ120万ドル (1億3000万円) と推測されるという。

プリングルス

最後に超くだらない部門からひとつ。ポテチのプリングルスのCMだ。
ある撮影スタジオで、スタッフが何気なくバーベキュー味プリングルスにピザ味プリングルスを重ねる。「バーベキューピザができた」と別のスタッフが言うと、2人は「ワオ!」と驚く。
そこへ撮影を終えた俳優が加わり、「ハラペーニョ味も重ねろ」と言う。「スパイシー・バーベキューピザだ」と興奮するスタッフ。
後ろからパラシュートに吊り下げられた俳優が「味が混ざっちゃうよ」と口を出すと、「お前は黙ってろ!」と怒鳴られる、とそれだけ。このくだらなさがいい。
プリングルスの公式サイトでは、いろいろな3枚重ねの「レシピ」を紹介しているのも面白い。

この他にも、お金をかけてそうな作品はいくつもある。激辛ドリトスとマウンテンデュー・アイスがコラボしたペプシのCMでは、ピーター・ディンクレイジ(ゲーム・オブ・スローンズ)とモーガン・フリーマン(ショーシャンクの空に)がラップで対決する。または、キアヌ・リーブス(マトリックス)がただバイクに乗ってるだけというホームページ制作ツール会社のCMもあった。

だが、有名人を出せばいいのか? っていう気もしないでもない。こうなると、日本のCMみたいで面白くない……と、これはあくまで個人的感想。全部で54本ある中から NEWREELの好みで無理矢理6本を選んだので、全体に平凡だと言われてはいるが、この他にもまだまだ面白い作品はある。

感動ものも少なくない。もっとうーんとくだらないのもある。なので、たとえば ここ みたいに、今年のスーパーボウルのCMを全部まとめた動画をチェックして欲しい。

それから、過去のスーパーボウルの名作CMを集めた動画も YouTube でたくさん公開されている。「super bowl ad」と検索してみていただきたい。「super bowl ad 1970」のように年代を入れて検索すれば、昔のスーパーボウルのCMも見ることができる。

金井哲夫

雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。