本サイトの PLAYLIST に寄稿中の田所淳が初の(!?)個展を開催する。
田所淳は、クリエイティブコーダーとして数々のプロジェクトに参加してきた。ある時は大規模なライブ演出に関わり、またある時はライブコーディングの舞台に立つ。
また、慶応SFC、多摩美術大学情報デザイン、明治FMS、東京藝術大学学術情報センター、東京工科大学などたくさんの大学で、長年に渡りプログラミングの授業を担当している。現在活躍中のメディアアーティストの中にも、田所にプログラミングを教わった人間は多い。
さらに Processing や openFrameworks に関する著作や、自身が運営する yoppa.org を通して、クリエイティブコーディング関連情報を意欲的に発信している。
日本のメディアアートの世界になくてはならない人物なのである。
今回、田所が個展のために制作した作品「100 fragments」。
本作品は、100のコードの断片 (Fragment) から構成されている。一つ一つのコードは数十行のごく短かいものだ。しかし、この100のコードの断片を視覚的に認識可能な限界まで時間的に圧縮して実行していくことで、暴力的な様相を呈してくる。圧倒的な情報量は認識を阻害し、そこから意味を読み取ることを困難にしていく。
この作品を通して、情報の暴力的な側面、断片化される社会について感じて欲しい。
── 以下は、個展に対する田所本人のコメントを掲載する。
「100 fragments」は、今回の初個展のために制作した新作です。「100 fragments」というタイトルには、いくつかの意味が込められています。
一つ目の意味は、今回の作品は100個のプログラムの「かけら」から構成されています。ひとつひとつのプログラムはとても短かく、数行から多くても2、30行程度の小さなコードです。2018年の年明けから日記のようにコツコツと書き溜めて100個のコードを用意しました。
二つ目は、技術的な意味を込めています。100個のそれぞれのコードは GLSL の fragment シェーダーという大量のピクセルを操作するための言語で書かれています。文字通り、100個の fragment シェーダーを使用しています。4K解像度の全てのピクセルを高速に操作することで生まれる未知の映像を探求しています。
そして、三つ目の意味は「断片化」という意味での fragment です。私自身、普段から SNS 中毒で Facebook の他人の投稿を見ては、嫉妬したり怒ったりしています。「果たして、SNS やチャットなどで膨大な情報を常にやりとりが出来るようになって世界は本当により豊かでより良いものになったのだろうか?」という疑問を作品に込めています。
会期中にはライブコーディングのパフォーマンスなど様々なイベントも企画中です。初めての個展でいろいろ不安でいっぱいですが、是非お越しください。
田所淳