ルー・ヤンは、科学と精神世界のつながりをテーマに、映像、インスタレーション、アニメーション、ゲーム、3DCGなど、デジタルメディアで表現するミレニアル世代を象徴するアーティスト。2015年に「ヴェネツィア・ビエンナーレ」中国館の出展作家に抜擢されるなど、一度目にしたら忘れられない強烈なインパクトの映像作品を手がけている。
ときにその過激な表現が先行して話題となるが、作品は一貫して、生命の儚さやもろさ、現代社会にはびこる様々な歪みを感覚的に解消しようとする思いにあふれている。
Lu Yang《電磁脳神教》(2017)
既存の宗教離れが進む昨今、彼女を中心とした一部の若い世代においては、熱狂しうるアイドル、アニメに描かれるキャラクターが崇拝の対象になっているようにも見え、本展ではそれを具現化するように、日本で活動するアイドルのちゃんもも◎(バンドじゃないもん!)を起用し、MV風に仕立てた新作映像作品を発表する。
本作では「脳と意識」に焦点を当て、科学と意識、現実と想像の境目を、現代人が慣れ親しむゲームやMVなどのエンターテイメント要素・技法を取り入れて可視化し、勧善懲悪的でユーモラスな映像作品として昇華させている。
Lu Yang《電磁脳神教 – 脳制御士》(2017)
会期中に開催されるアーティストトーク(1月13日)や、本展出展作品「電磁脳神教」のカードゲームを使った大会(1月14日 15:00)、ラテックス製の着ぐるみを装着しパフォーマンスを行なうサエボーグとの一夜限りの特別パフォーマンス(1月14日 18:00)など、関連イベントにも注目だ。