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Feature

手作り感溢れる色あせたサイケな感じにホッとする
The Decemberists の「Severed」MV

金井哲夫 May 11 2018

アニメーターであり映画監督でもあるモーガン・グルアーによって制作された ザ・ディセンバーリスツ(The Decemberists) の MV は、色あせたピーター・マックスのような感じが懐かしさと安堵感を引き出す。

dir
Morgan Gruer
prod co
Simian Design
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ザ・ディセンバーリスツ(The Decemberists)は、アメリカの「フォークロック」バンドと言われていた。これまでは、ジェファーソン・エアプレーンあたりを思わせる、ちょっと懐かしいホッとするようなサウンドで、歴史的な出来事や昔の詩をテーマにした曲が多かった。しかし、今年発売されたニューアルバム「I’ll Be Your Girl Out Now」では、新しいプロデューサーを起用して、これまでの路線から飛び出すことを考えた。

リードボーカルのコリン・メロイは、「自分に対して挑戦的で、もうちょっと批判的になるよう、曲作りのプロセスをもっと大切にしようと思った」と話している。メンバーでサウンドについて話し合ったときに、ロキシーミュージックや初期のグラムロックのサウンドも参考にしたという。

この「Severed」のシンセサイザーがポコポコ入るサウンドは、その結果なのだろう。それでもやっぱり、懐かしいようなホッとするようなサウンドだ。

ところで、「Severed」(切断するという意味)の歌詞は、「私だけが答だ。私だけが間違ったものを正しいものにできる。だがガンを根絶やしにするには、日に当てちゃ行けない……」みたな、何を言っているのかよくわからない。

だけど、この MV はそれをハッキリわからせてくれた。それを言ってるのは、頭に角を生やしたトランプ大統領だ。アニメーションを制作したのは、アニメーターであり映画監督でもあるモーガン・グルアー氏。サイケデリックポップアーティストのピーター・マックスのような、色あせたサイケ感が懐かしい気分にさせてくれる。

グルアー氏が1年前に発表した作品「Reflection」や、2018 Life is Beautiful 音楽祭のために作られた「All Together, Life is Beautiful」は、その手書きの優しいタッチが「Severed」の MV にも通じている。

ザ・ディセンバーリスツもなんだかいい感じだが、同じようなバイブを感じるモーガン・グルアーという名前は、憶えておく価値がありそうだ。


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雑誌編集者を経て、フリーランスで翻訳、執筆を行う。

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