ザ・ディセンバーリスツ(The Decemberists)は、アメリカの「フォークロック」バンドと言われていた。これまでは、ジェファーソン・エアプレーンあたりを思わせる、ちょっと懐かしいホッとするようなサウンドで、歴史的な出来事や昔の詩をテーマにした曲が多かった。しかし、今年発売されたニューアルバム「I’ll Be Your Girl Out Now」では、新しいプロデューサーを起用して、これまでの路線から飛び出すことを考えた。
リードボーカルのコリン・メロイは、「自分に対して挑戦的で、もうちょっと批判的になるよう、曲作りのプロセスをもっと大切にしようと思った」と話している。メンバーでサウンドについて話し合ったときに、ロキシーミュージックや初期のグラムロックのサウンドも参考にしたという。
この「Severed」のシンセサイザーがポコポコ入るサウンドは、その結果なのだろう。それでもやっぱり、懐かしいようなホッとするようなサウンドだ。
ところで、「Severed」(切断するという意味)の歌詞は、「私だけが答だ。私だけが間違ったものを正しいものにできる。だがガンを根絶やしにするには、日に当てちゃ行けない……」みたな、何を言っているのかよくわからない。
だけど、この MV はそれをハッキリわからせてくれた。それを言ってるのは、頭に角を生やしたトランプ大統領だ。アニメーションを制作したのは、アニメーターであり映画監督でもあるモーガン・グルアー氏。サイケデリックポップアーティストのピーター・マックスのような、色あせたサイケ感が懐かしい気分にさせてくれる。
グルアー氏が1年前に発表した作品「Reflection」や、2018 Life is Beautiful 音楽祭のために作られた「All Together, Life is Beautiful」は、その手書きの優しいタッチが「Severed」の MV にも通じている。
ザ・ディセンバーリスツもなんだかいい感じだが、同じようなバイブを感じるモーガン・グルアーという名前は、憶えておく価値がありそうだ。
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